彼女を誰にも渡したくない
俺は彼女 大野アシュリーさんのことが好きだ
自分の気持ちをはっきり自覚してしまった俺は
翌日彼女を呼び出し告白することにした
急な用件というのは何?伊月くん
のあ アシュリーさん
何かしら
俺 アシュリーさんのことが好きです
俺と付き合ってください
好きです俺と付き合ってください
あ これはなんのドッキリかしら?
あまり大人をからかうものではないわよ
からかってなんかないです
だったら 少し飲み過ぎたよね?
トイレに頭を突っ込んで目を覚ましてくるといいわ
よいてもないです
伊月くん
俺は本気です 本気でアシュリーさんが好きです
前に言いましたよね
いなくなってしまった人たちの分まで幸せになりなさいって
言ってはね
俺が幸せになるためには アシュリーさんが必要なんです
そして俺の手でアシュリーさんのことを幸せにしたいと思っています
私は妹じゃないわよ
知ってます
あなたよりひと回りも年上なのよ
全然問題ありません
部屋ではジャージだし家事も料理も全然できないわよ
外面はいいのに家ではダメ人間なんてうまるちゃんみたいでむしろ最高です
昼間からB級ホラー映画を見ながらお酒を飲んでいても引いたりしない
大丈夫です
俺もよく締め切り破って昼間から酒飲みながらラノベ読んでます
それはどうなのかしら
どうやら私をからかっているというわけではなさそうね
はい、もちろんです
幸運だったわね伊月君
私 ちょうど今
意外なことに珍しく タイミングよく たまたま偶然にも フリーなのよ
と言うことは
だから 付き合ってあげてもいいは
マジですか
あなたのことは嫌いじゃないし
収入も作家の割に安定してるし
それに
放っておけないとは 私も思っていたから
だから
これか らよろしくお願いします
ありがとうございます
もう 興奮しすぎよ
まるで盛りのついたチンパンジーのようね
こうして 俺と彼女は恋人になった
ちょっとまだ
かにこに京千尋で 何してるだ お前ら
えっと その
先輩の様子がおかしかったので
先輩が入念にシャワーを浴びたり 鏡の前で髪型とか服装 あれこれ悩んでいる間に
こっそりクローゼットの中に隠れて様子をうかがっていたのです
そしたらまさか こんな場面に遭遇するなんて
伊月本当にあったはもう いつもいつもやることが唐突なのよ
振り回されるこっちの気持ちにもなんてよ バカ
本当バカ
かにこはともかく 何で京が起こってるんだ
それは
伊月先輩 先輩はそこの泥棒ネコに騙されているんです
正気に戻ってください
今のを見ていたならわかるだろ
お前には悪いが 俺の気持ちは本物だ
この思いは抑えられない
すまん
ちなみに 泥棒ネコというのは私のことかしら?
あなた以外に誰かいるんですか?先輩をたぶらかして
この泥棒ネコ伊月先輩を返してください
人聞きの悪いことを言わないで欲しいわね
そもそもあなたと伊月くんは
別に付き合っているわけでもないのでしょ
かいしてなんてお門違いよ
どうせ その小学生のような体でお兄じゃんなんて言いながら迫ったり決まってます
しょ 小学生ですて
せめて中学生くらいを 見えるのではないかしら?
気にするところそこなんだ
今の小学生の発育はおばさんの時代とは違うんですよ
この洗濯板断崖絶壁大平原の小さな胸
どうしだの千尋くん
なんてもないです
あなた今 いってはならないことを言ったわね
面倒な修羅場に巻き込まれるのはごめんだし
おとなしく引いてあげようとも考えたけれど
あなたにだけは絶対に譲りたくなくなったは
私を洗濯板呼ばわりしたことを一生後悔なさい
この ぶた
ぶ ぶたなんて
まるで小学生のような悪口ですね
やっぱり本当に小学生なんじゃないですか?
たしかにそうね
あなたを表現するのには
もっと的確な言葉があったわ
それはね でぶよ
でで…でぶじゃないです
おっぱいが大きいだけですが
そりゃ足とか腕にも多少はお肉があるですけど
枯れ木みたいなおばさんよりは女としての魅力に溢れてます
あら 多少胸に脂身が載っているくらいで
あまり調子に乗らないほうがいいわよ
大切なのは 肉付きよりも大人のテクニックなのだから
ちなみにだったし 舌使いには自信のある
大人のテクニック
舌使い こっくり
でもでも 男の人はみんなおっぱいが大好きなはずです
テクニックだって いざという時に備えてバナナやキュウリで練習してます
予言してあげるわ
あなたの自慢のおっぱいは十五年後
えゃ 作家の不健康な生活を続けていれば
十年後にはだらしなく垂れ下がるでしょう
垂れ下
つまり内儀のように繊細な肉体と大人のいやらしさを併せ持つ私こそが最強ということよう
末長く私を愛してね 伊月くん
はい~
ごめんかにこ
お前の気持ちは嬉しかったし
正直 お前みたいなすごいヤツに好かれて誇らしくもあった
けど俺はやっぱり アシュリーさんのことが大好きなんだ
だから俺のことはもう諦めてくれ
分かりました
かにこ
ただし 条件があります
条件?
伊月先輩の小説が私の作品に勝ったら
先輩のことをきっぱり諦めます
そしたらその人と結婚でもセックスでも好きにすればいいです
でも これを達成するまでは交際なんて絶対に!
ちょっとなゆ そんなめちゃくちゃな
カッツというのは 具体的にどうすればいいのかしら?
なんでもいいですよ
売り上げでも このラナの順位でも
アマゾンレビューの評価でも Google検索のヒット数でも
そのすべてで私は先輩に勝ってみせます
全身全霊で伊月先輩を叩き潰して
先輩の心バキバキにへしよって
その人にも愛想を尽かされて
何もかも失い地面に這いつくばっている先輩よ
私が優しく愛してあげるんです
かにこ
いいだろ その勝負受けて立ってやる
本気なの?
この子は確かあなたのレーベルのナンバーは作家なのでしょ?
これはかにこをに対する俺なりのけじめです
すいませんアシュリーさ
少しだけ俺を信じて待っていてください
仕方ない子ね
まぁ 私と結婚するのなら
伊月くんにはもっと稼げるようになってもらわないと困るし
良いは 私も手伝ってあげるから
からさっさとこの小娘を倒して
ナンバーワン作家になっちゃいなさい
はい