空のばけつを逆さまにした そんな雨
「食べるために殺して」
痛くないように一振りで 命を刈り取ったんだ
「殺すために生きてた」
さむいな いたいな 終わらない雨 雨降り蟷螂
空腹だけが確かなものになっていく
風吹く 温かい声 見上げて呟く
「どうしてだろ 何故か雨があたらないぞ?」
花ひろげて 温度を奪う雨から盾になってくれたんだ
紫陽花の花を見つめて 蟷螂は恋をした
雨の日には咲いた君を見て 僕は思う
「なんてキレイなんだ」
おなかが すいたな いつからだろ?食べるのわすれて
見つめ続けた 落ちてた花びら集めた
「君もいつか枯れてしまう」
抱きしめれば傷つけてしまう 僕には解ってたはずだったのに
愛しくて手を伸ばしたよ 雨の音は止まない
さくり と小さな音を立てて この鎌は花を切り取った
「あれ? ぼく なに して」
ここにあるの雨の音だけ
一房の花と落ちてく 水たまりの中へ 消えていく
抱きしめてた おおきな鎌を 花びらがふれて そっと包み込む
ごめんね でも ありがとう 蟷螂は目を閉じた
もうぼくは誰も 傷つけなくて良い