広げたハードカバーの上で何度も同じ劇を繰り返す本の中
捲っていく音が 巡ってくる気持ちが好きでした
夕暮れが窓辺からオレンジの明かりを私の足元に落として
「時間なんてあっという間だね」
「ほんとう」の事はいつでも私を傷つけるばかりで
いつだって泣くのをがまんした
嘘だとわかっている お気に入りの台詞を集めるから
「ごまかし」で明日から守って ねぇ
足りてないからこそ十全な役者たち
ああ あなたみたいに自分の役をやりきって
ハッピーエンドに迎えられたら
「どんなによかっただろう」
誰かと生きていくから
どうしても誰かに迷惑をかけてしまって
「ばかで ほんとうに ごめんなさい」
図書館に響く閉館のアナウンス
栞を閉じたよ 席を立ち唇を噛んだ
また会いにくるよ 何度でも私をだましてほしい
いろんなこと おしえて
瞼に 乗せた空想 その重さが、うれしい