作词 : Kentaro Otsuka
作曲 : Umi Ogimi
夏なのに、珍しいですね、湯豆腐
いや、さっき作ってらっしゃったじゃないですか
いや、そう、美味そうだなあと思って
いや、そうですよね、なんなんですかね、あれは
だって、たぶん使ってるのって 湯と、豆腐と、あと昆布 …… ですよね
それとまあ、薬味 …… そう
いやもちろん料理なんだけど、いや、ほぼ材料じゃないですか
そう、まあ材料とあとまあなんだろう、形式?
形式が材料とあるっていう
でも、そうか、料理って全部そうですね
材料と 形式
先ず材料があって、それに新しい、魅惑的な形式を与える
そういうものか …… そういうものなんだな
なにか?
一杯如何ですか
僕ですか?
それじゃあ
夕方から、仕事終わりですか
あ、ええ …… そちらは?
ええ
いい 時間ですよね
そうですね
黄昏時だ
はい
海外へは行きますか
海外ですか
ええ
行きますね
そうですか
はい
地中海は?
地中海
ええ
地中海はなかなか
そうですか
はい
ギリシアの詩に、風が葡萄酒の色をした海の上を吹いてきた、
っていうのがあるんです
葡萄酒
お嫌いですか?
いや あ
そうですか
はい
それがね、どうやら地中海では、黄昏時の、ちょうど今くらいの日光の
加減で、海が赤くなることがあるようなんですよ
なるほど、そうですか
はい、そして葡萄酒は、グラスのうちにそれを眺める …… 永遠につながる瞬間です
それじゃ、際限なく飲む必要はないわけですね
まさしく
ただ、日本酒はそうはいきませんね、初めから満ち足りた気分で飲むもので、そういう色をしてるし、高低もないからいつまでも飲んでいられる
そうですね
ああ、これ、よかったらどうぞ
あ、いや あ
いやいや、一緒に食べたほうが美味いですから
あ
お嫌いですか?
あ、いや、そうじゃなくて......いいんですか?
ええ、もちろん
それじゃ …… お言葉に甘えて
旨い!
よかったです
旨いですね
はい
旨いな あ