作词 : 夢追翔
作曲 : 夢追翔
「…今はどんな話をしようか?
——そうだ、≪音楽が消えた街≫って知ってる?
その街では、ありとあらゆる芸術が禁止されていたんだって。
これから話す物語は、
そんな街で起こった不思議な出来事——」
安寧を願って どれだけ祈りを捧げようと
幾度も繰り返す その身全て滅ばすまで
尽きない欲望が 形変えた戦争の火花
汚泥啜るように 心根を腐らせていく
僅かな まやかしの慰めも
生きていくための《絵空事(Fantasia)》
描く 希望をその手に
見出そうと翼を広げて
縋れ《創造神(かみ)》の声に
愚かな現実(リアル) 目を逸らして
救いさえ非現実(フィクション)だと言うなら
この手で作り出そう
閉ざされた未来を背に
争いに嫌気が差して
寄る辺となるは 幻想に咲く
色とりどりの物語
「繰り返される戦争、暗いニュース、
人々は心の拠り所を求めて、芸術やエンターテイメントに傾倒した。
多種多様の創作文化は生まれ、世界は希望に溢れる、はずだった。」
歌や絵や配信(ライブ)で 作物が育つわけでもなく
痺れを切らせた国は 不意に"それ"を定めた......
遍く芸術の類を 厳しく取り締まる法律
抗う声も搔き消して 耳障りな騒音と見做した
塞げ《創造神(かみ)》の声を
従わぬなら重き罰を
「違反者」と排斥されるのなら
五線譜にお別れを
閉ざされた今は何処に
奪われた楽譜とキャンバス
燃え盛るのは 寂しさだけか
それとも何か別の炎一一
「《総生産量強化法案》、
そして誕生したのが音楽のない街——サイレントシティ。
物語は、其処に一人の音楽家がやって来るところ始まる。」
「やめて!!燃やさないで!」
「何だよ!ただ音楽を聴いてただけじゃないか!」
「どうしてこんな事が罪になるの!」
「もう絵が描けないのなら、もういっそう...」
「——なるほど、此処が例の...」
美しく佇む城壁の 街は音一つもしなくて
それが安寧と言うのなら
この両手で壊してみせよう
縋れ《創造神(かみ)》の声に
愚かな現実(リアル) 見つめるため
迫害と戦う気があるなら
ほんの少しだけ愛を
静謐なる虚飾楽園(ディストピア)
旋律は序曲を奏でて
どんな悲劇も 見届けようか
今紡ぎ出す物語
「ズバリ君達に問おう、最高の音楽とは何だろうか?
人を笑わせ泣かせ、時には人生の救いとなる様な作品は勿論、素晴らしい音楽だと言える。
しかし私はこう考えた、人を死に至らしめる様な作品も、同様にまた人の心を動かした素晴らしい音楽ではないかと。
——音楽で、人は殺せるだろうか?」