消失を繰り返す度に明滅の影は幸福を祈る
枯れ草と鉄錆の中 腐敗に酔い痴れて
蒙昧に映る夏至の夜 爪先に産まれた犬の死骸
定まらぬ視界に這うは蛾の群がる蝶
対を成した盲目の死者が喚き出す声 妄執の絵
誰も彼も花の顔 爛れた自我の臭いに噎せ返る
誰もが愛を求めるのに誰からも愛されないと嘆く
誰も愛を知らないまま誰かを愛することを求めている
遠くの空に廻る花の円陣の喧しさに惑い
狡猾な振る舞いと嘘が恥辱を支配する
滔々と捲し立てるのは薬が切れた脳漿の悲観
嵩張る塵を掻き抱く百足を幻視する
色を為した盲目の死者が怒鳴り散らすは感傷の憂
誰も彼も知らぬ顔 希薄な自我の揺らぎに目が眩む
誰もが理解されたいのに誰からも理解されずに嘆く
誰も理解しようとはせず誰かの理解を求め続けている
繰り返し勾引す倫理に本能は擬態に染まる
見え透いた上辺の饒舌
「裏側を見せろ。」
「貴方を愛し、理解するのは他の誰でもない貴方自身。」
それを理解出来た時に初めて貴方の花は咲くのでしょう