2029年5月19日20時45分
ごめん 紅莉栖さん 遅くなっちゃった
今日 あたし 卒業式でさ
父さんが記念にって レストランにつれてってくれたんだ
紅莉栖さんも一緒にくればよかったのに
って あれ 紅莉栖さん
おかしいな いない
どこ行ったんだろう
出かけるなんて 珍しいな
それともまさか あの「開かずの部屋」の中とか
紅莉栖さん 中にいるの
紅莉栖さん
この部屋にははいちゃ駄目って ずっと言われて続けて来たけど
でも 紅莉栖さんに何かあったかもしれないし
ちょっと覗くだけなら いいよね
鍵 かかってない
なに この部屋
まるで秘密基地みたい
部屋の中にエレベーターがあるなんて
あっ 押しちゃった
紅莉栖さん この部屋にはいないみたいだけど
乗ってもいない
ええと これ 行き先は
地下一階だけか
行って見よう
この先に紅莉栖さんの秘密があるのかな
知りたいような しりたくないような
うわあ こんな地下室があったなんて
暗くてよく見えないけど
かなり広そう
何だろう あの奥にあるの
まるで大きな人工衛星みたいな
だれ
鈴羽
紅莉栖さん 心配したんだよ
どうしてここに
ごめん 姿が見えないから
あちこち探してたら ここに
ね 紅莉栖さん
あの大きな人工衛星みたいなの 何
紅莉栖さんはここで何をして...
出て行きなさい
ここはあなたの来るべき所じゃないわ
出て行って
でも
お願い
うう わかった ごめんなさい
よく考えたら あたし
紅莉栖さんのこと ほとんど知らないや
父さん
鈴ちゃん お帰りなさい
どうしたの そんなに慌てて
紅莉栖さんの所には行ってきたの
母さん 父さんはどこ
今お風呂に入っているけれど
父さん
おお 鈴羽 どうしたん
もしかして 父さん一緒に入りたくなった
いやあ そう言ってくれるのなんで何年振りだろう
父さんまじ寂しかったわけて
でもさ あまりじろじろ見られると けっこう恥ずかしいつうか
教えて 紅莉栖さんは一体何を研究しての
い 何の話
紅莉栖さんの自宅の地下に行ったの アフ
父さん
知ってるの
あそこに何があるの
紅莉栖さんはあんなに一生懸命
何を研究してるの
うわ
父さん
これ 他の誰にも内緒だよ
母さんにも まゆ氏にも
もちろん 牧瀬氏にも
ばらしたのが僕だって知られたらさ
牧瀬氏に五感ほんつけられたまま
前頭葉引っ掻き回されて半殺しにされるんって
誰にも言わない それで
ええと 実話ね
実話
タイムマシンなんだよね
えっ タイム...
牧瀬氏は本気で作るとしてるんだ
過去へも未来へも行ける ガチのタイムマシンを
それ 本気で
本気だよ
僕も手伝ってるからね
しかもさ 理論上は可能な所まできてる
す...すごい
それすごい ノーベル賞もらえちゃう
しっ 牧瀬氏はさその研究の成果公表するつもりないらしいんだ
えっ なんで
あくまで 自分のためにやってるとか何とか前に言ってる
とにかく 秘密の研究なんだよ
鈴羽も 首突っ込まないほうがいいと思われ
そんな
それより 鈴羽 お風呂 入るなら
父さんの背中流してくれると嬉しいわけだが
小学校卒業を記念して親孝行してくれるなんて 鈴羽はいい子だな
ちょっ.. 鈴羽...おおい
鈴ちゃん 今度はどこいくの こんな遅くに
紅莉栖さんのとこ
誰にも知られずに 誰からも褒めてもらえない研究を
あの人はただ一人でどれぐらいな間続けてきたんだろう
そこまで維持なのはどうして
ね 紅莉栖さん
合鍵は 確か ポケットに
鈴羽
また来たの もう遅いのに
紅莉栖さん あの
先地下室で見たことなら 何も聞かないて
あなたが知らないほうがいい
一人は 辛くない
何のこと
一人は辛いでしょう
一人でいいのよ わたしは
えっ ちょっ 鈴羽 どうしたの 急に抱きついたりして
なんでもない なんでもないから
そう
あたしはこの人の助手になる
この人の右腕になるんだ
この時 そう決めた