さくら:オルガンの音?
さくら:誰が弾いてるのかな?
さくら:これ…お父さんの部屋にあるオルガンの音だ。
さくら:うちでオルガン弾けるのは…お兄ちゃんと…お母さん…
さくら:これお母さんだ…お母さんが弾いてる
ジジジ……
さくら:う…へ〜あう〜
ケロちゃん:おはようさ!
さくら:せっかくいい夢見てたのに…
ケロちゃん:ほう…どんな夢や?
さくら:オルガンが聞こえるの、優しい感じの曲で
ケロちゃん:はぁ…クロウカードとは関係なさそうか?
さくら:うん…だと思う、全然怖い感じとかしなかったし、ふわふわして幸せな気持ちになったもん
ケロちゃん:ええ気分に引っ立てる時なんやけど、今日は雨やで
さくら:ええ?!
さくら:ほぇ!!!今日体育水泳だったのに!
ケロちゃん:そっちも残念やけど、雨降ってるちゅことは、ローラーブレードで行かれへんちゅこっちゃないんか
さくら:うぁ、
ケロちゃん:ローラーブレードで行かれへんちゅことは、かなりデンジャータイムやっちゅこっちゃないんか?
さくら:うぅぅん…遅刻だよう!
ケロちゃん:かぁ〜お約束てき展開やな
さくら:おはよう〜
お父さん:おはようございます、さくらさん
さくら:おはよ、お父さん
桃矢:また寝坊か、怪獣?
さくら:怪獣じゃないもん!
桃矢:毎朝毎朝寝坊して、よく飽きねな
さくら:したくてしてるんじゃないもん
桃矢:ほう、やっぱ習性か
さくら:習性?
桃矢:怪獣さくらは、寝るのは習性なんじゃないの
さくら:なんですって??
お父さん:ふたりとも、今日は雨だから、少し早めに出た方が良くない?
さくら:うぅん、はんはん、で、お兄ちゃんが朝からいじわる言うからだよ
桃矢:いじわる何か言ってねぞ、さくらが怪獣なのは本当だからな
さくら:怪獣じゃない!
お父さん:さくらさん、これ
さくら:あ、ありがとう
桃矢:なんだ、そのノート?
さくら:学校の連絡帳
お父さん:先生から父母へのお知らせが書いてあったかり、父母から先生への連絡を書いたりするんですよ
桃矢:ああ、おれが小学校の時もあったな、そいうの
さくら:ねね、お兄ちゃんで小学校の頃どんな感じだったの?
桃矢:あ?
さくら:今と全然違ってた?同じだった?
お父さん:どうしたんですか、急に?
さくら:だって、お兄ちゃんは私の小さい頃全部知ってて、私はお兄ちゃんの小さい頃ほとんど知らないもん
桃矢:当たり前だろう、お前の方が年下なんだから
さくら:でも何か、不公平な感じ
お父さん:優しくていい子でしたよ
さくら:え?!本当に?
桃矢:ばかのことばか言ってないで、早く食べないと遅刻すんじゃなかったのか
さくら:あ、そうだった、はんはん…
お父さん:良いお兄ちゃんでしたよね?
桃矢:覚えでない
お父さん:いってらっしゃい〜
さくら、桃矢:いってきます〜
さくら:はぁ、雨やだな
桃矢:降らなきゃ水不足とかで困るんだぞ
さくら:分かってるけるけど、遠足とか体育とか楽しみにしてる日に降ると、やっぱり嫌なんだもん
桃矢:母さんは好きだけどな、
さくら:お母さん?
桃矢:空が歌てるみたいで、好きだって
さくら:……本当だ
さくら:でも、びっくりした
桃矢:ん?
さくら:急にお母さんの話するんだもん、今日私もお母さんの夢見たとこだったし
桃矢:母さんの、夢?
さくら:うん、て言っても顔とか見たんじゃなくて、音だけなんだけど
桃矢:音で、声が?
さくら:ううん、私お母さんの声覚えでないもん、えっとね、オルガンの音なの
さくら:あれ、お父さんの部屋のオルガンだと思う
さくら:きれいな曲が聞こえくるんだけど、うちでオルガン弾けるのお兄ちゃんだけでしょ?
さくら:でも、お兄ちゃんが弾いてたのとちょっと違う感じの音なの、優しくてね、綺麗でね、
さくら:夢の中で、は、お母さんが弾いてるんだ、て思ったの
さくら:えっとね、こんな曲
さくら:「だんだん…」
さくら:でもね、途中で目が覚めちゃって最後まで聞けなかったんだよね
さくら:ちゃんともう一回聞いてみたいな
さくら:お兄ちゃん?どうしたの?
桃矢:何でもない…あ、雪
さくら:え、どこどこ?
雪兔:へえ、へえ、おはよう〜
さくら:は、おはようございます
雪兔:おはようさくらちゃん、朝から雨になっちゃったね
桃矢:おはよう
雪兔:え、桃矢…
桃矢:ん?
雪兔:ううん、後で良い
桃矢:ほ…
雪兔:さくらちゃん、今日雨降って残念だったね
さくら:え、どうしてですか
雪兔:今日体育のある日でしょう、この前水曜日が体育だってさくらちゃん言ってだから
さくら:雪兎さん…
雪兔:体育好きで、いつも楽しみにしてるのにね
さくら:あ、でもでも、国語も好きです、国語の碧先生優しいし
雪兔:今日国語もあるんだ、勉強頑張ってね
さくら:はい!
さくら:あ、学校ついちゃった…
桃矢:ちゃんと勉強しろよ
雪兔:またね
さくら:ゆ〜き〜と〜さん〜
「デンデン…」
さくら:ほえ〜本当に遅刻しちゃう
桃矢:さき…何言いかけたんだ
雪兔:うん?…うん、何か心配なことある
桃矢:なんで?
雪兔:先あった時、なんとなくそう思ったから
桃矢:なんだそれ
雪兔:当たった?
桃矢:心配とは、ちょっと違うけどな
雪兔:聞いていい?
桃矢:うん
雪兔:さくらちゃんのこと?
桃矢:だから、何でそうなるんだ?
雪兔:桃矢が一番心配なのは、さくらちゃんだから
桃矢:……
雪兔:また当たったみたいだね
桃矢:ふん
雪兔:さくらちゃん、どうかしたの?
桃矢:夢、見たんだと、母さんの
雪兔:どんな夢?
桃矢:母さんが弾いてる、オルガンの夢
桃矢:あいつは写真以外の母さんのことは、覚えてないからな
雪兔:桃矢のお母さん、よく弾いてたの、オルガン
桃矢:ああ、さくら寝かせるのにな、音楽、好きだったから
雪兔:そいうとこも、さくらちゃん、お母さんに似たんだね
桃矢:おれに、音楽教えたのは、母さんだったから
桃矢:オルガンも、バイオリンも、
桃矢:さくらが大きくなったら、また別の楽器を教えて、いつかみんな合奏しょうって、よく笑ってた
雪兔:お父さんは?
桃矢:父さんは運動神経いいけど、音楽は苦手だ
雪兔:へえ〜なんが意外だな
桃矢:さくらが、夢で聞いたオルガンの曲をもういっかい聞きたいんだっと
雪兔:桃矢、その曲お母さんから習ってないの?
桃矢:その前に母さん、行っちまったから
雪兔:そっか
桃矢:あの曲…か
さくら:おはよう
利佳、千春、奈緒子:おはよう
さくら:は、ぎりぎりセーフだよ
利佳:雨だったから大変だったでしょ
さくら:利佳ちゃんお家一番遠いから私より大変だったんじゃないの?
利佳:ううん、ちょっと早く出たから
千春:昨日熱かったでしょ、だから、窓ちょっと開けといたの、そしたら朝雨で
さくら:千春ちゃんのお部屋、確か窓際にぬいぐるみさん居たよね
千春:そうなの
利佳:大丈夫だった?
千春:うん、ちょっと濡れただけだから
奈緒子:うちはお母さん、お仕事行くの大変だって困ってたよ
さくら:奈緒子のお母さんのお勤め先て、遠いだっけ?
奈緒子:電車乗るから、ホームだって
山崎貴史:そろそろ、先生来るから、席に戻ってね
クラス:はい〜
奈緒子:山崎くんえらいね
千春:あれでも一応クラス委員だから、嘘つきだけど
知世:おはようございます
クラス:おはよう
さくら:知世ちゃん、おはよう
知世:おはようございます、さくらちゃん
さくら:知世ちゃんがぎりぎりなんて、珍しいね
知世:ちょっと昨日、遅くまで起きてたので
さくら:何してたの?
知世:クロウカード捕獲用の、コスチューム作りですわ
さくら:ほえぇ…
知世:もっともっとさくらちゃんは可愛く見えるように、頑張らねば
さくら:は、はうぅ…
さくら:あ、
さくら:おはよう
李小狼:おはよう
さくら:李君もちょっと遅かった?
李小狼:日本に来て、こんなに雨降ったの初めてだから、ウェイがレインコートきてっげって
李小狼:レインコートなんて、箪笥の底のほうだから、探すのに一時間も掛かって…
さくら:え、誰がきてっげって?
李小狼:何でもない
さくら:ほ、ほぇ
知世:李君とは、クロウカード探しのライバルですからしょうがないですわ
さくら:う、うん
知世:は、恋でもライバルでしたわね
さくら:え、と、知世ちゃん
碧先生:さて、先週の国語の時間に出した宿題、作文「動物と一緒に暮らすこと」ですが、
碧先生:みんなさん、とってもよくできていました
碧先生:山崎くんの、「昔動物はみんな二足歩行だった」というのはとっても面白かったわ
碧先生:山崎くんの作文は、いつも夢があるわね
千春:山崎くんのは、夢じゃなくて、嘘よね
山崎:はは〜
碧先生:柳沢さんは、いつも本当にしっかりした文章で、先生も読むのが楽しみです
利佳:良かったね、奈緒子ちゃん
奈緒子:うん、嬉しい
碧先生:後は、木之本さん
さくら:は、はい!
碧先生:木之本さんのも良かったですよ、「羽のはいたぬいぐるみが喋ったら」
碧先生:木之本さんは、喋れるオレンジ色のぬいぐるみさんと暮らしてみたいのね
さくら:は、はい
碧先生:ぬいぐるみが大阪弁で喋ったらいいな、というとっても可愛らしい作文でした
碧先生:想像で書いてるのに、凄く細かいところまで描写してあって
碧先生:まるで本当にぬいぐるみさんと暮らしてるみたいね
さくら:うん、へ、へへ
知世:ケロちゃんのこと書いたんですか
さくら:う、うん
李小狼:想像じゃなくて、実際喋ってるぬいぐるみがそばにいるからな
さくら:う
碧先生:このクラスだけじゃなく、ほかのクラスの作文も本当によく出来ていたの
碧先生:で、先生達みんなで相談して、友枝小学校の作文コンクールを行うことになりました
クラス:へ
碧先生:優秀賞に選ばれた人は、発表会で、入選した作文を朗読してもらいます
クラス:わ
碧先生:先生達も一所懸命読むから、みんなさんもぜひ、いい作品を書いてね
クラス:はい
碧先生:さて、コンクール用の作文のタイトルは
碧先生:「家族のこと」です
さくら:家族のことっか
さくら:家族っか、知世ちゃんは誰のこと書くの?
知世:うん…やっぱり母ですわね、メイドさん達のこと書いても良いですが、
知世:家族とはちょっと違いますし、さくらちゃんは?
さくら:うん…もうケロちゃんのことは書けないし、お父さんとお兄ちゃんのこと書くのが良いんだろうけど
知世:けど?
さくら:お母さんのこと書きたいんだ
……
知世:は、お母様の夢を?
さくら:て言っても、お母さんを見たわけじゃないだけどね
さくら:お母さんが弾いてるオルガンの夢だから
さくら:へ、でもへんなんだよ、お母さんが亡くなったのって、私が三歳の頃なんだ
さくら:いくらなんでも、お母さんがどんなふうにオルガンを弾いてたか何で、覚えてるはずないだけどね
知世:いいえ、きっとそれ、撫子おばさまですは
さくら:え?
知世:母が言っていました、撫子おばさま、音楽がとってもお好きで、どんな楽器も本当にお上手だったって
さくら:でも、私が覚えてるはず…
知世:魔法を使えるさくらちゃんですもの、三歳の頃の記憶が残っていたって、不思議ではありませんわ
さくら:そうかな
さくら:知世ちゃん、こっちの道だよね、また明日ね
知世:はい、また
知世:さくらちゃん
さくら:なに?
知世:作文、さくらちゃんが書きたいように書くのが一番だと思いますわ
知世:さくらちゃんが知らないことは、お父様達にお聞きすればいいですもの
さくら:うん、そうだね、私、やっぱりお母さんのこと書くよ
知世:はい!ぜひ私にも、読ませてくださいね
さくら:うん!