まさか この僕が歌わされるとは思わなかったな
女王様のお望みとは言え、らしくないことをしたとは思ってるよ
まあ、僕は完璧な存在だからね
歌えと命令されれば、完璧に歌ってみせるんだけさ
というわけで、君への恋心を音に乗せてみたわけだけど
君はこれを聞いてどう思った?
情熱的?それとも情念を感じた?
そりゃあ、君への想いは片思いの分、激しくはなるよね
これを聞いて、君が少しでも僕に振り向いてくれるのなら嬉しいんだけど
「余裕そう」?
僕が余裕に見える?
「好きな人の前で好きな人に対する恋の歌を歌ったのに」?
これでも緊張しているんだよ
君は意外と僕のことがわかってないんだね
僕は君を見てると、いつもドキドキするよ
でも、動揺しているのを悟られたくなくて
なんでもないというふうを装ってしまう
君は僕と一緒にいると、ドキドキする?
触って、確かめてみてもいい?
冗談だよ
ところで、僕は初めて歌を歌ったわけだけど
今後も君が歌えというなら、いつでも歌ってあげるよ
ただし、僕は君のためだけにしか歌わない
君は初めて僕の歌を聞いた人で最後に僕の歌を聞いた人になるんだ
できるなら、君にとっても、僕が最初で最後の男でありたいけどね
僕は君から初めてをもらったけど
それだけじゃ足りない
僕は初めてじゃなくてもいいから…最後がいい
君にとっての最後になりたいんだね
こういう考えは女の人のほうが多いって聞くけど
この世界は「対称」だからね
僕がそう思ってもおかしくはない
さあ、僕の女王様
僕に命令してくれるんだろう
なんだって、何度だって
君の願いを叶えてあげるよ
僕は君の魔法使いだからね