砂糖の夜に
Music:瀬名航
Lyrics:都塚寧々
灰色のこの部屋は少し蒸し暑い
開いた窓 隣人の煙草
隙間から見える月 扇風機の風
私が読む本の主人公は大抵、夜に散歩をする
生ぬるい空気を吸う
肺中にその毒が回る 眩暈がする
ここの自販機にしかないと思っていたジュースは 割とどこでもあった
「自分のものなんて初めから一つもなかった」よくある台詞を思い出す
本当はどうでもいいんだけど
いつもより少し遠いコンビニに行く
やる気のない店員 あ、欠伸してる
眩しすぎる光に刺されて店を出る
綺麗な星空がどうだとか、よくある歌詞を思い出す
空を見上げても相変わらず
星は一つも見えなくて瞼を閉じる
目を開けると誰かがすぐそこに立っていた
目の色が綺麗な人だった
暗くてよく見えないのに、何故かそう思った
近づいてみると夜の香りがした
その人は“夜”なのだと思った
その人は私に色々なことを話した
さっきのコンビニ店員は猫を2匹飼っているということ、
実は星は砂糖だということ、
ここから星が見えないのは自分が絵の具で塗りつぶしてしまったからだということ、
「あんまり美味しくなかったからね」と、少し笑った
その人は欠伸をしながら何処かへ行ってしまいそうだった
ついていってもいい?と聞いた私の方を振り返って手を振った
「またね、おやすみ」
灰色のこの部屋は少し蒸し暑い
開いた窓 隣人の煙草
隙間から見える月 扇風機の風