ぷりけつ先生との戦いに勝利し
私が正式に妹法学園のコミカライズ担当になってから
三ヶ月が過ぎました
第一部が掲載された月刊コミックギフテッドが
一週間ほど前に発売され
私はついにプロの漫画家としてデビューを果たしたのです
まだ数は少ないですが
読者アンケートでの評判は非常に良いですよ
ネットでも
マンガに詳しい人たちの間では
すごい新人が現れたと
話題になっているようです
本当ですか?良かったです
ええ、この調子で頑張っていきましょう
ということで
昨日いただいて第四話の話なんですが
絹恵!
あえ?何ですか?あなたは
お父様
突如編集部に乗り込んできた
いかつい風貌の中年男性は
私のお父様でした
お父様のてには
コミックギフテッドの今月号が握られています
私はそれを見て
何が起こったかを悟りました
あ、ちなみに絹恵というのは私の本名です
絹恵これは、一体どういうことだ
わしらに内緒で
まだ漫画なんぞ描いておったんか?
実は私は
漫画を描いていることを両親には内緒にしていました
以前、プロの漫画家になりたいと言ったところ猛反対され
それでも夢を諦めきれず
内緒で漫画を描き続け
出版社への持ち込みをしていたのです
とにかく家に帰るぞ絹恵
そしてもう二度と漫画なんぞ描かんと
お父さんとお母さんに約束しなさい
それはできません、
お父様!私はプロの漫画家になったのです
まだまだ駆け出しですが
私の漫画を応援してくださる方も大勢いるのです
プロの漫画家?
わしはお前を漫画家なんぞにするために育ててきたわけじゃない
漫画なんぞくだらん
特にこんなお前が描いているような
兄と妹がどうとかいうそんな破廉恥な漫画なんぞ
世の中にとってなんの役にもう立だんだろうが
あの、お言葉を返すようですが、お父さん
漫画は日本が誇る素晴らしい文化で
三国山さんには素晴らしい才能が
黙ってこわっぱ
絹恵、もう金輪際漫画なんぞ描かんと約束できるな
お父様、は、私は
絹恵!
お父様に怒鳴られて
私は恥ずかしながら
震えて立ち尽くすことしかできませんでした
さあ、帰るぞ絹恵
お前はこれからも
家の一人娘として
ふさわしい人生を送るんだ
バカだな
ちょっと待
羽島さん
羽島先生?
何だ貴様は?
我が名は羽島伊月
蚕さんが描いている漫画の原作者にして
いつか全宇宙で最高の妹小説を生み出して天才作家だ
俺の大事なパートナーの夢を邪魔するなど
たとえ父親だろう、いや!
父親だからこそ許すわけにはいかん
大事なパートナーの?
何故でしょう、羽島さんの言葉を聞いた瞬間
私は顔が熱くなるのを感じたのです
羽島伊月なとう
その名前は知っとるぞ
確か絹恵の部屋の本棚に様の方が何冊も並んどくか
それに妹小説だとう、そうが
貴様が様の破廉恥な変態妹小説が
うちの娘をおかしくしたというわけか
お父様私はおかしくなってると
様のせいで絹恵はおかしくなって
漫画なんぞ描くようになってしまったのだ
許さんぞこぞ!
バカめ
なに?
俺にはわかる
蚕さんは最初から頭がおかしい根っからの変態妹漫画家だ
俺の小説の影響があったのかどうかしらんが
たとえ俺の小説を読んでなくても
いつか必ず漫画家になっていただろ
選ばれし天才とはそういうものだ
この俺が保証する
蚕さんは、漫画家になる宿命を背負って生まれてきたのだ
羽島さん
赤の他人が好き勝手によって
大体この子の名前は絹恵だ
蚕なんぞという名前で呼ぶんじゃない
赤の他人ではない
蚕さんこそ、俺の運命のパートナー
俺とともに輝かしい未来を歩いていく大事な存在だ
なんだと貴様今何と言った?
娘の私が言うのもあれですが
お父様はヤクザも顔負けのコワモテです
そんなお父様にひるむことなく立ち向かう羽島さんの姿を見て
私の心にも勇気が湧いてきたのです
お父様、私の話を聞いてください
絹恵
お父様、私は漫画を描くのは絶対に止めませ
絹恵、なぜだ絹恵、立派な下着職人になって
うちで生産した絹を使って
最高の下着を作るのが夢だと
子供の頃言っとたただろ
あれは嘘だったのか?
嘘ではありません
ですが、もっと大きな夢を見つけてしまったのです
私の今の夢は、世界一の漫画家になって、
下着の素晴らしさを世界中に伝えることです
お父様、これを見てください
私は頭のパンティを解き、
お父様に手渡しました
これは、お前の実際の誕生日に
わしが勝手やった高級パンティ
私の下着を愛する気持ちは
あの頃から変わりません
私はずっと
このパンティを被って漫画を描いてきました
辛い時も苦しい時も
お父さんのがくださったこのパンティのおかげで
乗り越えることができたのです
これからの私は
お父様の愛がたっぷり込められたパンティーとともに
夢を追い続けます
絹恵、は~、(クンクン、スハスハ)X2
いい匂いだ
お前の十年分の汗と涙が
このパンティには染み付いている
頑張ってきだったな、絹恵
お父様
分かった、お前の夢お父様応援しよう
頑張るんだぞ絹恵
いい話だな
そうですが
羽島伊月!
はい!
絹恵のことをこれからもよろしく頼むぞ
任せておけ
絹恵に不幸にしたら絶対に許さんからな
それからわしのことは、これからお父さんと呼びなさい
やお?
父様、一体何を?
あ、さっき運命のパートナーとして
共に未来を歩んでいくと言っとただろうが
そそそ、そりゃ原作者と漫画家としてという意味で
そうです誤解ですお父様
何?!
誤解なのです
今は、まだ誤解ですが
羽島さん
おお
私羽島さんのことが好きです
原作者と漫画家としてだけではなく
恋人として
私とお付き合いしてください
気付けば私は、勢いに任せて告白していました
しかし、後悔はありませんでした
羽島さんが私のためにお父様に立ち向かってくださった時から
いいえ、きっと
初めて出会った時から
私は、羽島さんを好きになっていたのです
が、蚕さんありがとう
その、とても嬉しい
羽島さん
俺も蚕さんのことが好きだ
初めて会った時から
他人だとは思えなかった
全裸下着かをめぐって争った時も
夢に向かって突き進む姿に感銘を受けた
クリエイターとしても人間としても、女性としても
俺は絹恵が好きだ
運命のパートナーとして
共に未来を歩んでほしい
は、羽島さん羽島さん
蚕さん
ちょっと待った
まだ乱入ですが
うちの会社のセキュリティはどうなるんでしょうか
かにこ?
どういうことですが先輩
私というものがありながら
こんな頭にパース載せてるような変な人と
ごめんなかにこ俺は一緒に人生を歩みたい相手は
三国蚕さんなんだ
たとえ頭にパンツを載せている変態だろうと
俺は蚕さんのことが好きだ、
だから俺のことはもう諦めてくれ
わかりました
かにこ
ただし条件があります
条件?
私の漫画と先輩の漫画で勝負をしましょう
漫画で勝負ですか
私は構いませんけど
いやお前、漫画なんて描けないだろう
私が描くわけじゃありません
ちょうど私の小説にコミカライズの話が持ち上がっているのです
先輩たちの漫画が私の小説のコミカライズに勝てたら
交際を認めてあげますと
前の作品のコミカライズだと
受けて立ちます
どんな相手だるうど
私と羽島さんの愛の結晶の前には的ではありません
あ、愛の結晶とか言わないでください
本当にいいのか?かにこ
そっちの漫画家が誰かは知らんが
妹法学校のコミカライズのクオリティの高さはお前も知ってるだろ
大丈夫です
絶対に負けませんから
不敵に笑ってかにさんは去って行きました
私と羽島さんが
彼女の自信の理由を知ったのは
それから二ヶ月後のことでした