ユカリ:やあ、今日も疲れた。この頃全然疲れが取れないのよね。
あ、そういえば、ミフユさんが担当していたリゾート開発って、最近どうなってるの?
ミフユ:食事もエステ体験も好評だけど、特に評判がいいのは温泉ね。
タマキ:温泉……いいにゃー。
私たち最近、働きすぎだと思うにゃ、たまにはどこか旅行に行きたいにゃー。
ユカリ:ああ、いいわね旅行。温泉で暖まりながら飲む一杯は最高だろうなあ……
ミフユ:二人とも気持ちはわかるけど、今は財政的に難しい……
アキノ:おーっほほほほ、そんなお疲れの皆さんに、朗報ですわよ。
実は私、旅行の計画を立てましたの!
ユカリ:アキノさん……
ミフユ:いつも急に現れるわね……
タマキ:旅行、それ本当かにゃ?
アキノ:皆さん、最近オーバーワーク気味でしたでしょう?
ですから、旅行で皆さんをねぎらおうと思いまして。
ミフユ:さすがアキノさん、ギルドマスターとしてメンバーをよく見ているわね。
アキノ:おーっほほほ、上に立つ人間として、当然のことですわ。
タマキ:それでそれで、どんな計画を立てたにゃ?
マッサージ付き温泉かにゃ、新鮮魚介食べ放題プランかにゃ?
ユカリ:私は飲み放題プランがあればいいんだけど……
ミフユ:旅は節約が命、なるべくお金をかけない旅行がいいわね。
アキノ:皆さんの要望はすべてかなえておりますわ。
では、発表します――今回の旅行はアストライア大陸の横断旅行ですわ!
ミフユ:却下!どこからその旅費を出すつもり?
ユカリ:そうね、さすがに今のうちの財務状況で大陸横断は厳しすぎるわよ。
アキノ:そ、そうかしら、うまく予算を組めば……
ミフユ:無理ったら無理、財政が破綻するわよ。
相変わらずアキノさんは自分の金銭感覚がおかしいことに気づいてないのね。
ユカリ:まあ、近場で日帰りくらいならできるかもしれないけどね……
ミフユ:とにかく、やっぱり私たちには旅行なんて夢のまた夢、当分は仕事だけに集中よ。
タマキ:残念だにゃ。
アキノ:資金があれば、問題ありませんのね……
タマキ:にゃ?どうしたにゃアキノ、ショックなのはわかるけど、元気出すにゃー。
アキノ:大丈夫ですわタマキさん、私、いい方法を思いつきましたよ。
タマキ:にゃ、いい方法?
アキノ:ええ、お金がないのなら、出していただけばいいんですわ。
ミフユ:お金を出してもらうって、どうやって?
アキノ:この大陸横断旅行の内容を大々的に紹介して、スポンサーを集めればいいのですわ。
ユカリ:旅行の企画化ってこと?
ああ、確かにうまくやれば人もお金も集まって、メルクリウス財団のこれからの事業にもつながるかも。
ミフユ:でも、観光の紹介だけで、そんなにうまくいくかしら。
私たち以外の市民の皆さんも、参加できるようにしたら?
タマキ:みんな娯楽を求めてるにゃ、大事なのは、エンタメ性にゃ。
アキノ:おーっほほほ、私にお任せなさい。
この計画、絶対成功させて見せますわ。
場所を変える
ユカリ:まさか本当に決行しちゃうなんてね、アストライア大陸横断クイズ旅行。
ミフユ:アキノさん、ここ最近でものすごい量の仕事をこなして、この旅行計画を進めていったものね。
タマキ:恐ろしい執念にゃ。
でも、そのおかげで参加者もスポンサーもたくさん集まったにゃ。
さすがアキノにゃ。
アキノ:おーっほほほ、皆さんご覧なさい。
この旅行の注目度が高まって、大勢の参加者とマスコミがやってきましたよ。
ミフユ:ちょ、ちょっと、広場が埋め尽くされてるじゃない。
いくら何でもこの人数がクイズに参加しながら旅行なんて、無理に決まってるわ。
タマキ:数千人はいるんじゃないかにゃ。
とても私たちだけじゃ捌き切れないにゃー。
アキノ:そこも抜かりはありませんわ。
今回は彼をスタッフとして呼んでましたよ。
あなたたちは安心してクイズに専念なさい。
ミフユ:あら、君が雇われてたのね。安心したわ。
タマキ:いろんな仕事をこなしている君がいれば、心強いにゃ。
アキノ:彼がいれば、失敗なんてありえませんわ。
ユカリ:あなたたち、彼にどこまで期待するつもりなのよ。
アキノ:更に、彼以外にも、警備としてナイトメアの方々にもお力添えいただきますわ。
ミフユ:え、ちょっと待って、それ大丈夫なの?
アキノ:ご心配なく、この企画は王宮にも全面協力していただいていますのよ。
タマキ:ラン、ランドソルを挙げてのクイズ旅行……
正直、予想以上に規模が大きくなってびっくりにゃー。
ユカリ:そうね、まさかナイトメアまで動かすなんて。
アキノ:ジュンさん、今回の警備、よろしくお願いいたしますわ。
ジュン:ああ、任せてくれ。
大陸横断しながらのクイズ旅行など、我が国始まって以来の出来事だが、何があっても、我らナイトメアが国民を全力で守り抜こう。
トモ:団長、団員すべてを会場内に配備しました。
ジュン:ああ、ありがとうトモちゃ、トモ団員。
アキノ:素晴らしい統率力、頼りにしていますわ。
では、そろそろ始めますわよ、アストライア大陸横断クイズ旅行、第一次予選を。
ミフユ:つい、ついにこの時が来たわね。
ユカリ:できる限り頑張りましょう。
アキノさんのスピーチが終わったらいよいよ本番よ。
アキノ:皆さん、本日はアストライア大陸横断クイズ旅行にお集まりいただき、感謝いたします。
それでは……大陸を横断しに、行きたいか!?
どんなことをしても、行きたいか!?
罰ゲームなんか、怖くないぞ!?
マツリ:うわあ、盛り上がってるっすね、トモ姉ちゃん。
トモ:そうだね。
でも、私たちは警備の仕事があるんだから、楽しむのもほどほどにね。
マツリ:わかってるっす。てか、間違えたら罰ゲームとかあるんっすね。
ユカリ:ええ、私たちだって、罰ゲームがあるなんて、聞いてないわよ。
タマキ:きっとスポンサーに言われて構成を変えたんだにゃ。
バラエティーの則は恐ろしいにゃ。
アキノ:大陸の横断には、こちらウィスタリア家の飛空艇に乗っていただきます。
当然、ここに集まっていただいた全員が乗ることができません。
まずは、予選を行い、勝ち残った人だけが大陸横断の旅に出ることができますわ。
タマキ:にゃ、じゃあ、ここで負けたら横に行けないにゃ。
ミフユ:アキノさん、ここでかなりふるい落とすつもりなんじゃん。
アキノ:第一次予選のクイズ形式は、マルバツクイズです。
マルの床とバツの床を用意してありますので、正しいと思った方へ移動してくださいまし。
さあ、盛り上げていきますわよ。
タマキ:気合い入れていくにゃ。
アキノ:最初の問題はこちらですわ。
猫はニキビができる、マルかバツか。
タマキ:猫の問題なら任せるにゃ。答えはマルにゃ。
ミフユ:本当?ここはタマキさんを信じるわよ。
マルの床に移動しましょう。
アキノ:はい皆さん、移動はここまでですわ。
正解は「マル」、さすがタマキさん、正解でしたよ。
それでは、ナイトメアの皆さん、お願いしますわ。
クリス:ふむ、この縄を切ればいいのだなあ、うおお!
ユカリ:ちょっ、バツの床が抜けて選んだ人たちが落ちていくわ。
アキノ:これぐらいの演出の方が、人目も引きますし、どれだけ脱落者が出たか、わかりやすくてよ。
ユカリ:そのために広場に穴を掘っちゃったの?
タマキ:一気に半分くらいになったにゃ、危ないことするにゃ。
ミフユ:一応下にクッションが敷いてあるみたいよ、よかったわね。
アキノ:安心している場合じゃありませんわ。
問題、かき氷のシロップはすべて同じ味である、マルかバツか。
ミフユ:同じよ、色が違うだけ。
アキノ:正解よ、ミフユさん。
他の人:うわああ……
ユカリ:ああ、床がまた抜けてく。
アキノ:三問目、ガムを噛めば、玉ねぎで涙が出ない、マルかバツかですわ。
タマキ:にゃー、分からないにゃ。
ミフユ:玉ねぎを切る時にガムを噛む発想なんて無いわよ。
ユカリ:どっち?ね、どっちなの?
ミフユ:落ち着いて、こういう時は周りの動向を見て……
みんな混乱してるわね。
タマキ:はあ、マルのところに猫ちゃんがいるにゃ!
ユカリ:ちょっと、タマキさん!
タマキ:猫ちゃんのお導きにゃ、マルが正解にゃ!
ミフユ:ああ、もう、時間もないし、行きましょう。
アキノ:正解は「マル」ですわ。
他の人:うわああ……
アキノ:まだ結構残ってますわね。
さあ、人数が減るまで、どんどん参りますわよ。
他の人:うわああ……
アキノ:はい、これで飛空艇に乗れる参加者が決まりましたわね。
ミフユ:はあ、はあ、予選から、白熱した戦いだったわね。
タマキ:にゃー、あれだけ参加者がいたのに、もう十数人くらいしか残ってないにゃ。
この広場の下には、数千人の参加者が……
アキノ:それでは、勝ち残った皆さんは、飛空艇にお乗りくださいませ。
マツリ:うわあ、自分たちも飛空艇に乗れるっすか?
ジュン:ワクワクするね、マツリちゃん。
クリス:ああ、長距離移動なんて、面倒くさいだけさ。
トモ:仕事なんだから仕方ないでしょう、クリスティーナ、早くいくよ。
クリス:はい、はい。
場所を変える
アキノ:第二次予選は、この飛空艇内で行いますわ。
内容はこちらに書かれた問題をすべて解くこと。
ミフユ:何なのよこの問題の量は、百科事典くらい厚みがあるわよ。
タマキ:こ、これ全部解くにゃ?ものすごい時間がかかりそうにゃ。
アキノ:制限時間は明日の朝まで、それでは始めますわよ。
タマキ:鬼にゃ!悪魔にゃ!こんなの徹夜しかないにゃ!
ユカリ:まあまあ、企画者もずっと起きて監視しなくちゃいけないわけだし。
みんなで乗り切りましょう。
マツリ:わあ、ハードっす、辛そうっす。
自分、参加しなくてよかったっす。
トモ:なかなか過酷な戦いだね。
クリス:私は寝るけどなあ。
あとは任せたよ、団長。
マツリ:ええ、もしかしてジュンさんも徹夜ですか。
ジュン:ああ、うん。
参加者もほとんど寝てないし、夜中に何が起こっても対処できるようにね。
トモ:わ、わたしもおともします。
ジュン:ダメだよ、トモちゃんとマツリちゃんは成長期なんだから。
タマキ:にゃ、いいにゃ、子供は寝ることができて……
ユカリ:そうね。あ、お布団が私を呼んでる気がする。
ミフユ:気のせいよ。
それより早く問題を解かないと、制限時間に間に合わないわよ。
タマキ:なんかちっとも旅行的がしないにゃー。
場所を変える
アキノ:皆さん、目的地に着きましたわ。
回答もここまで、ペンを置いてくださる。
ユカリ:お、終わったわね……
タマキ:体がバキバキになってるにゃ……
アキノ:それでは順番に、外に出ていただきますわ。
ミフユ:ていうか、一晩中空を飛んでいたのに、ここマルジン海岸じゃない。
タマキ:ランドソルからそんなに離れてないにゃ。
何のために飛空艇に乗ってたにゃ。
アキノ:おーっほほほ。
皆さんに問題を解いていただいている間、海岸の上空を周回していましたわ。
ほらほら、そんなことより、早く降りてくださいな。
ミフユ:やっと外の空気が吸えるわね。
階段を下りてっと。
ユカリ:ああ、いい天気、シュワシュワ飲みたいなあ。
あら、この台は何かしら?
踏んでも特に何も起こらないけど。
タマキ:台ってどれにゃ?
アキノ:はい、タマキさんは失格ですわ。
タマキ:にゃ、失格!なんで失格にゃ!?
アキノ:さっきの問題、全然点数が取れていませんでしたが、我がギルドから脱落者が出たことが残念ですわ。
さっさと機内に戻ってくださいな。
タマキ:ここまで来て飛空艇から降りることも許されないのかにゃ?
鬼!悪魔!
ミフユ:あれ、失格者が乗るとブザーが鳴る台みたいね。
ユカリ:問題だけ解かされてランドソルに返されるなんて。
タマキ:にゃー!真夏のバカンス……
ミフユ:それにしても、ほかの参加者も少なくなったわね。
ユカリ:初めての企画だから、難易度の設定を間違えてるのよ、多分。
アキノ:ここまで残った皆さんは、お疲れ様ですわ。
ここから先、敗退すればすぐにランドソルへ直行していただきますから、気をつけてくださいませ。
さあ、次の勝負は、こちらですわ。
ユカリ:ええ、もう?せめて仮眠だけでも取らせて。
アキノ:そんな時間はありませんわ、次の予定がありますもの。
マツリ:めちゃくちゃハードスケジュールっす。
せっかく残った参加者も、ゾンビみたいな顔になってるっすよ。
トモ:まるで、判断力を鈍らせる準備をしていたようにも見えるね。
アキノ:ここでの勝負はこちら、マルジン海岸泥んこクイズ。
ユカリ:え、泥んこ?
アキノ:壁に二択の答えが書いてあるので、正しと思った方の壁に飛び込んでくださいまし。
ミフユ:正解だと思う方の壁を突き破ればいいのね。
それじゃさっそく……
ユカリ:見て、不正解の壁の向こうにはぬかるみがあるわ。
トモ:え、問題を間違えたら、泥まみれになっちゃうんだね。
ミフユ:ていうか、どんどん脱落者が出てるんだけど、これもう私たちしかいなくない?
アキノ:まずいですわね、ちょっと内容がハードすぎたかしら。
でも、スポンサーが付いているから、中止にするわけにもいきませんし……
ユカリ:そうだ。君、出てみない?
ミフユ:ダメよ、スタッフの数だって足りないのよ。
え、「自分より適した人たちがいる、呼んでくる」って?
あ、ちょっと……
ジュン:あれ、少年、どうしたんだ?
「こっちは参加者の数が減ったせいか、少し余裕がでて」
えっ、私たちにクイズに参加してほしい?
トモ:わたしは構いませんよ。
マツリ:自分もオッケーっす。
ジュン:もちろん私は大丈夫だが……
クリス:私はごめんだ。
戦えるわけじゃないし、そんなことをして何になる?
ジュン:少年には世話になっているし、これも騎士の仕事の一つだと思って。
一緒に参加してくれ、クリスちゃん。
クリス:私をクリスと呼ぶな。
マツリ:お願いっす、クリスティーナおばさん。
クリス:おばさん!?
ジュン:私からも頼む、クリスティーナ。
クリス:ああ、もう。どいつもこいつもそんな子犬のような目で見るな。
わかったよ、参加してやる。
でも、見返りはわかってるだろうな、団長。
ジュン:ああ、私ならいくらでも相手になろう。
アキノ:まあ、ナイトメアが参加してくれますの。
ここから私もゲームに参加しますし、これでスポンサーも満足してくれますわ。
それでは次の目的地へ向かいましょう。
場所を変える
マツリ:うわ、すごい風っす。ここなんっすか。
クリス:強風が吹きつける、ゲームは砂漠だ。
ここで一体何をするんだ?
アキノ:クイズに答えていただくために、皆さんにはパラシュートをつけてもらいますわ。
タマキ:にゃーはっはっは、みんな待たせたにゃー。
ユカリ:あら、タマキさんがパラシュートで降りてくるわ。
タマキ:私はいつだってカムバックしてくるのにゃー!
アキノ:タマキさんはランドソルに戻った後、見事敗者復活戦を勝ち抜いたのですわ。
ユカリ:だから敗者復活のたすきをかけてるのね。
アキノ:今回のルールは簡単、パネルの答えがわかったら、前にある早押しボタンに走って行って、押せたら回答することができますの。
ミフユ:パラシュートを開いてまま、風に向かって走るのね。
なかなかハードなクイズだわ。
マツリ:楽しそうっす。
早速問題を頼むっす。
ジュン:問題は「お茶はお茶でも、子供が喜ぶおちゃは?」だって。
うん、何だろう。
マツリ:簡単っす、自分子供だからもうわかったっす。
トモ:マツリちゃん、気を付けてね。
ここ、風が強いから。
マツリ:大丈夫っす。
これぐらい、へ……
トモ:うわあ、マ、マツリちゃんが強風に吹っ飛ばされた!
助けに行ってきます~
ジュン:気を付けて、二人とも!
え、あれは浮いてるのか、一瞬で見えなくなってしまった。
クリス:く、高がクイズと侮っていたが。
一筋縄ではいかないようだな。
ジュン:マツリちゃん、トモちゃん、大丈夫だった?
マツリ:空を飛ぶなんてなかなかない経験だったから、楽しかったっす。
でも、クイズに答えられなかったから、自分は脱落っす。
トモ:まあ、今回は仕方ないよ。
私はギリギリで戻って回答できたから、マツリちゃんの分も頑張るね。
マツリ:応援してるっす、トモ姉ちゃん。
アキノ:さすが、ナイトメアの皆様。
全員無事についてこられましたのね。
タマキ:アキノ、まさか、次のクイズはこの滝でやるんじゃん。
アキノ:お察しの通りですわ。
今回のクイズは川下り、決められた乗り物に乗って、川を下りてくださいな
乗り物は問題が書かれた紙に書いてありますわ。
ユカリ:私は、小型船ですって。
ミフユ:私は、ボートだわ。
タマキ:私は、い、筏にゃ!?
いやにゃー、筏なんて、絶対濡れるにゃー!
ミフユ:頑張って、タマキさん。
タマキ:い、いやあ!水が、水が飛んでくるにゃ!
ユカリ:そんなに暴れたら転覆するわよ!
タマキ:濡れるにゃ!詰めたくないにゃ!
落ちるのはもっといやにゃ!わああ!
場所を変える
タマキ:川の次は氷結……
濡れるし、脱落するし、寒いしで最悪にゃー。
ミフユ:タマキさん、しっかり。
あ、次のクイズがもう用意されてるわ。
内容は、カクテルパーティークイズですって。
ユカリ:あら、カクテルパーティーなんて、面白そうじゃない。
えっと、「回答者は指定した位置で答えること。
用意されたスケートシューズを履いておくこと」ですって。
ミフユ:スケートシューズ?何のためかしら。
ユカリ:さあ。問題は「今何時」。
え、これが問題?ええっえ、ど、どういう意味かしら?
アキノ:ユカリさん、あまり迷っていると危険ですわよ。
ユカリ:え、え、うわあああ!
スケートシューズが勝手に動いて、う、うわあああ……!
めめ、め、め、目が回る!?
ジュン:凄いスピンだ。
早く答えないとああなるわけが。
ユカリ:無理無理無理無理……
クリス:カクテルパーティーって、これじゃ人間カクテルじゃないか。
アキノ:さあ、ユカリさん、回答を。
ユカリ:え、えっと、えっと……
今は……今だから……
はあ、にマジ!
アキノ:正解ですわ。
ユカリ:はあ……やった、はあ……
タマキ:あ、ユカリが倒れたにゃ!
ミフユ:大丈夫、気絶しただけみたい。
でもしばらくはクイズに参加できそうにないわね。
場所を変える
マツリ:氷結の次は砂丘っすか、暑いっす。
クリス:ああ。
だが暑さよりも、なぜここの現地人は妙な物体を投げつけてくるんだ?
ジュン:これゴーヤっぽいものだ、この辺りの名産品だね。
アキノ:ここの現地の方々のお祭りらしいですわ。
このお祭りで、町おこししているんですって。
クリス:町おこしなら、普通に配ればいいだろう。
なんでわざわざ投げてくるんだ。
アキノ:読み上げた問題がわかりましたら、このゴーヤっぽいものを潜り抜けて、回答ボタンを押していただきますわ。
クリス:あ、いたい……この……よくも……
今私の頭にゴーヤっぽいものをぶつけた奴は誰だ?
いえ、面倒だからそこに全員とやってやるさあ!
ジュン:落ち着け、クリスちゃん!
クリス:知るか!クリスちゃんと呼ぶな!
止めるなよ、あああ!
アキノ:うわあ、無駄な乱闘騒ぎは失格でしたよ。
マツリ:ダメっすよ、クリスティーナおばさん、失格になっちゃうっす。
クリス:誰がおばさんだ!
場所を変える
トモ:何とか乱闘は収まりましたね……
クリス:よくも邪魔をしてくれたなあ。
ジュン:まあまあ、失格にはなってしまったが、あっちにオアシスがあるから、みんなで少し休憩しよう。
アキノ:次のクイズ会場はあのオアシスですわ。
オアシスの湖の真ん中にクイズの問題を浮かべてあるので、取ってきて答えてくださいまし。
ジュン:なるほど。
よし、早速行ってみるよ。
トモ:え、ちょっとジュンさん、甲冑は……
ジュン:あ、しまった、ここ足がつかない……
マツリ:ジュンさん!
トモ:どうしよう、ジュンさんが甲冑の重みで湖に沈んじゃった。
クリス:あははは、なかなかいい様じゃないか。
マツリ:笑ってないで、おばさんも助けるのを手伝って。
クリス:お、おばさんって……おば、おばさんと呼ぶな!待って!
ジュン:う、うん……あ!
マツリ:ジュンさん、目が覚めたんっすね。
ジュン:私は……そうか、オアシスに沈んで気絶してたのか。
クイズはどうなった?
マツリ:今森林で、アキノさんとミフユさんとトモ姉ちゃんが戦ってるっす。
「失敗するとトラップクイズ」だそうっす。
見に行くっすか?
ジュン:ああ、行こう。
マツリ:ギャラリーが盛り上がってるっす、白熱してるみたいっすね。
ジュン:そうだね、私たちもトモちゃんを応援しよう。
頑張れ、トモちゃんー!
トモ:ジュンさん!
よかった、気が付いたんだ。
ナイトメアで残っているのは私だけだし、ここは頑張らないと!
アキノ:次の問題の答えは簡単、1+1は?
トモ:そんなの、2に決まってる!
え!?じゃ、答えは?
「簡単」!?待った、引っかかっちゃった!
ミフユ:トモさんよけて、失敗するとトラップが発動する!
トモ:あ、そうか!
上から妙な液体が……
ちょっと装備の金具にかかっちゃったけど、これぐらいなら大したことないよね。
マツリ:ん?!
ああ、大変っす、トモ姉ちゃんのパンツが脱げそうっす!
ジュン:本当だ!
大変だ、トモちゃん、パンツが危ない!
トモ:ええ!
本当だ、金具が溶けてパンツが脱げそうになってる。
なんか前にもこんな事あったような……
ジュン:何とかしてパンツを死守するんだ!
マツリ:トモ姉ちゃん、パンツを抑えて固定するっす!
トモ:二人とも!
悪気は全くないんだろうけど、人前でそんなにパンツパンツ連呼しないで……
ミフユ:気の毒だけど、これで私とアキノさんの一騎打ちのようね。
アキノ:さあ、勝負はここからですわよ、ミフユさん。
次の問題は、早押しクイズですわ。
合っていると思った方のボタンを押してくださいまし。
ミフユ:わかったわ。
問題の内容は「イカの心臓は七つある」、マルかバツか……
これは「バツ」よ!
え?!確かにバツのはず……ああ、しまった!ボタンを間違えて押しちゃった。
アキノ:おーっほほほ!
痛恨のミスですわね、ミフユさん。
マツリ:ああ、これで優勝者が決まっちゃったっす……
トモ:ごめんね、マツリちゃん。
ナイトメアで残ってたのは私だけだったなのに。
ジュン:二人とも、まだ悔しがるには早いみたいだ。
アキノ:「これにて、アストライア大陸横断クイズ旅行はおしまい……」
というのも、もったいないですわね。
だってまだ全然大陸は横断できていないですもの。
そ、こ、で、今から再度、敗者復活戦の決行を宣言いたしますわ。
勝ち残った人が、私と戦うことにしましょう。
マツリ:や、やったっす!
またチャンスが与えられたっすよ。
ジュン:ああ、今度は私も油断しない。
勝ち残ってみせる。
場所を変える
アキノ:さあ、アストライア大陸横断クイズ旅行、その最終決戦はここ、始まりの場所である、ランドソルにで行いますわ。
そして、敗者復活戦により並みいる猛者を押しのけ、勝ち残ったのは――
漆黒の鎧を纏いし、ナイトメア団長、ジュンさんですわ!
ジュン:団員たちの期待を背負って、ここまで来たんだ。
絶対に負けられない!
アキノ:気合い十分ですわね。
それでは、早速参りましょうか。
ユカリ:第一問、「ピーマンとパプリカの違いは色である」、マルかバツか?
ジュン:バツだ。
マツリ:おお、初手はジュンさんが取ったっすよ。
アキノ:まだまだ、勝負は始まったばかりですわ。
ミフユ:第二問、「笊そばと盛りそばの違いは麺の太さである」……
アキノ:答えはバツですわ。
タマキ:おお、アキノも絶好調にゃ。
ジュン:次は負けない。
ユカリ:第三問、「ランドソルにあるカツヤの数は……」
ユカリ:第八十三問、「トモのパンツは白である」。
トモ:な、なんて問題よ!?
ジュン:マルだ!
マツリ:さすがジュンさん、やっと一点リードしたっすよ。
連続で正解すれば優勝っす。
ミフユ:第八十四問、え、これ?
まあいいわ、「スタッフの少年との恥ずかしい思い出を語れ」。
アキノ:ええ!それ、クイズの問題ですの?
ジュン:死ぬほど恥ずかしいが、優勝のためだ。
答えようじゃないか……
クリス:ほう、なかなか面白い展開じゃないか。
今あの甲冑の下でどんな顔をしているのやら、ほほ~
ジュン:あ、あれは、私がけがを負って、一日休みをもらい、少年と遊びに行った時のことだ。
トモ:ジュンさん、あの人とそんなことを……
マツリ:ちょっぴり羨ましいっす。
ジュン:少年と二人きりの時、その、兜を無理やり脱がされそうになって……
クリス:ほほ、それでどうなったんだ?
ジュン:私は覚悟を決めて少年に素顔を見せ、今度はかわいい服を着て、少年と遊ぶと約束したんだ。
タマキ:ちなみにその時の様子がこの写真にゃー!
ジュン:うええ!写真なんて、いつの間に?
少年!?君が用意したのか。
わああ、やめてくれ!
クリス:ははは~、いいぞ。
ジュン:ちょっと、恥ずかしいから、返して!
タマキ:ダメにゃあ~
クリス:あの泣く子も黙るナイトメア団長の知られざる真の姿は、可憐で恥ずかしがり屋な乙女だったというわけか。
トモ:ジュンさん、かわいい。
ジュン:うわあ、もう、もうだめだ、私は、私は……
アキノ:ジュンさん、素晴らしい思い出ですわ。
そして恥じらいながらも答えるその姿、真の勝者にふさわしかったよ。
マツリ:はあ、じゃあ、優勝は?!
アキノ:ええ、残念ですけど、ナイトメアで決まりますわ。
マツリ:や、やったっす。
ジュンさんは一位っすよ!
トモ:おめでとうございます、ジュンさん。
アキノ:優勝者には、我がウィスタリア家が出資した、新しいリゾート地の温泉を、プレゼントいたしますわ。
タマキ:いいにゃー、温泉。
ジュン:こんなすごい賞品をありがとう。
でもここまで来られたのは、ナイトメアの仲間がいたからだし、それにメルクリウス財団のメンバーの健闘も称えたい。
だから、この場所にはみんなで行こう。
タマキ:やったにゃー!温泉に入れるにゃー!
ユカリ:クイズで疲れ切った体を癒したいわね。
アキノ:では、ジュンさんのご好意に甘えて、全員でリゾート地へ向かいましょう。
場所を変える
ジュン:ここが、リゾート地……?
タマキ:そしてこれが温泉……
なんか、お湯がめちゃくちゃ茹ってるにゃ……
アキノ:そりゃそうですわ、だってこの地層まだマグマが流れていますもの。
みんな:ああ……
アキノ:まあまあ、人は入れそうにありませんが、これも温泉でして、よ。
タマキ:罰ゲームみたいなクイズをやり遂げたのに……
こんなの全然旅行じゃないにゃあああ!