作曲 : 春ねむり
寒さにいきはむねに白く凍りました
空気がうすくなった為に
羽をそれはそれは忙しく動かさなければなりませんでした
それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変りません
つくいきはふいごのようです
寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました
よだかは羽がすっかり痺れてしまいました
そして涙ぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました
そうです
これがよだかの最後でした
もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか
さかさになっているのか、上を向いているのかも
わかりませんでした
ただこころもちはやすらかに
その血のついた大きなくちばしは
横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居りました
それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました
そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって
しずかに燃えているのを見ました
すぐとなりは、カシオピア座でした
天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました
そしてよだかの星は燃えつづけました
いつまでもいつまでも燃えつづけました