(K=クリス,N=ノゾミ,V=イリヤ,I=イノリ,P=カヤ,H=ホマレ,M=モブ)
K:うん、ご苦労。今日もいいステージだったじゃないか。
N:プロデューサー、お疲れ様です。
K:今回のツアーはこれで全日程終了だな。
ううん、そうだな。次のツアーはもう少し趣向を変えてもいいかもしれんな。
N:新曲を用意するだけじゃダメですか。
K:ふん、やるからにはもっと派手に行こうじゃないか。
どうだ、なにかやってみたいことはあるか。
ランドソル壊滅くらいなら、やってやれんことはないぞ。
N:もう、プロデューサーさんってば!
うーん、そうですね。わたしがやってみたいのは…
K:ハッ!M:うわ!
M:なんだ、カチコミか!?
K:ギャングというから少しは期待していたのだが、
なんだ、ずいぶんと無防備じゃないか。
M:な、なんなんだよこの女はよ!
調子に乗ってんじゃねぇぞ。囲んでやっちまえ!
K:ハッ!M:うわ!
M:つ、強え!こっちの攻撃が全く当たらねぇ!
K:どうした、こんなものか?もっと熱烈に歓迎してくれてもいいんだぞ~
P:おっと、お前らは下がってな。
お客さんさあ、ずいぶんと好き勝手してくれてんじゃん。
M:うおお!カヤちゃん!M:カヤちゃん!
K:ああ、好機勝手するともさ。それが私という存在なのでね~
P:誰だか知らねぇが、白昼堂々うちに殴りこんでくるなんざ、
いかれた野郎かイカした野郎のどっちかに決まってるよ。なあ!
K:はは、躊躇のない踏み込みだ。いいじゃないか。
P:えい、えい!クソ!ちょこまかと避けやがる。
やる気ねえのか、てめえ!
K:そちらこそ、まだ本気を出しあぐねているんじゃないか。遠慮はいらんぞ。
何しろこの私クリスティーナ・モーガンがわざわざ出向いてきてやってるのだからな。
H:『誓約女君』とは。またずいぶんなビッグネームだね。
I:だ、誰ですか、そいつは?
P:ゲッ、ボス?イノリが呼んできたのか。
H:そこまでにしておこっか、カヤちゃん。
P:なんだよ、これからだろう。せっかく壁際まで追い込んだんだぜ。
H:でもそれって、避けてるんじゃなくて、当たらなくさせられてるんだと思うけどな。
ギルドハウス壊しちゃったら、お給料から引いちゃうよ~
K:ほお、そこまでわかるのか。
ふん、まさか五つ目のギャングで当たりを引けるとは。さすがは私だな。
I:五つ目って…まさかこいつ、ランドソルのギャングを襲って回ってるですか?
P:しかもランドソルの主要ギャングって、うち入れても五つしかなかった気がするけど…
K:ふん、ドラゴン族の三人組。貴様らが【ドラゴンズネスト】で間違いはないな。
P:そういうおまえは、「レジーナゲッシュ」っつったか?
って、もしかしてこいつ、【王宮騎士団】の副団長!?
I:ええ!?これってガサ入れなんです?
くう…とうとうマツリめ、あたしたちを売ったですね!
K:なんだなんだお前たち。あの二人と知り合いだったのか?
ふん、何とも奇妙な縁じゃないか。
H:ふふ、それは大丈夫だと思うよ、イノリちゃん。
だって今は元副団長さん、ですよね。クリスティーナさん?
K:ふん、そうだ。今の私はそう、言うなれば通りすがりのアイドルプロデューサー、だ。
H:そのアイドルプロデューサーさんがなぜこちらに?
I:そもそもアイドルプロデューサーはギャングに殴り込みなんかしてこないですよ。
本当にアイドルなんかプロデュースしてるんですか。
K:ふん~まあ、場末のギャングが知っているかどうかはわからんが、
今は、【カルミナ】のプロデュースをしているぞ。
I:ふん!カルミナなんてアイドル…はあ!カ、カルミナ!?
P:んだそりゃ、有名なのか?
I:カヤぴぃ正気ですか!?
全国ツアーからの伝説の凱旋ライブを行ったあの【カルミナ】を知らないです!?
P:いや、全然知らねえ~
I:ありえねえですよ!これだからのうきんケンカバカなんて言われるです。
P:はあ、それ言ってんのはイノリくらいのもんだけどな。
って、そんな有名なアイドルなら、こんなのがプロデューサーってのもあやしくないか?
I:はっ!言われてみればそうです。じゃあおばさん、そこんとこどうなんですか?
K:ずいぶんな物言いじゃないか。
まあいい。では、たまたま持っていたこのノゾミのサインをやろう~
I:ああ!すごいです!のぞみんのサインですよ!
P:うう、本物なのかそれ?
H:たぶん本物だよ~今の【カルミナ】のプロデューサーは、
王国の元VIPが務めてるって、裏の世界でも有名だもの。
K:ほお…ギルドマスターは切れ者だというのは、噂だけではなかったようだな。
ならばこそ、頼み甲斐があるというものじゃないか。
H:では、うちには何かしらの依頼がしたくていらっしゃったってことかな?
うふふ、元とはいえ、【王宮騎士団】の副団長さんがギャングにする依頼か。
興味あるな~
P:まさかボス、受けるつもりかよ?
うちを探すためにギャング潰して回るような相手だぞ。
I:待つです、カヤぴぃ。もしかして、【カルミナ】のプロデューサー様のご依頼というのは…
K:ああ、私が探し求めるのは特別な人材さ。
次回のカルミナコンサートを共に盛り上げるための、ね~
P:んで、だ。どうすんだよ、ボス。
H:もちろん、クリスティーナさんの依頼は受けるよ~
報酬もけっこうな額を前金でもらっちゃったしね。
P:いや、そうじゃなくて…こっちだよ、こっち。
I:ふん~ふふふふん~わたしが、【カルミナ】の新メンバーに、ですよ~
P:あれからずっとこんな調子だぜ。
I:アイドルになれば、毎日のぞみんにも会えるし、借金なんかサクっと返せちゃうですよ。
むしろここのギルドごと買い取っちまうです!
H:すごい良かれっぷりだね~
でもイノリちゃん、カルミナさんと同じステージに立つっていうのは大変なことだからね。
やるからには、うちもちゃんとオーディションはするよ。
もう募集の告知もしてるし。
I:え?あたしという逸材がいながら、なんでそんな無駄な真似するですか?
P:そりゃ仕事だからだよ。すげえ人気なんだろう、その【カルミナ】。
そんなとこに、素人がほいほい入っていけるかよ。
I:は!ふ!【カルミナ】の楽曲は歌から振り付けまで完璧ですよ~
P:そういうことじゃなくてな…
V:頼もう~【カルミナ】新メンバーのオーディション会場とやらはここか?
P:うう…はあ、また変なのが来やがった…
お嬢ちゃん、ここは遊び場じゃないぜ~
V:何じゃこの無礼者は。ええい、責任者を出さぬか、責任者を。
H:はいはーい、責任者でーす。でもこちらのオーディションは、
予め履歴書を送っておいてもらわないと参加できないの。ごめんね~
V:ふふふ!履歴書ならもう送っておるわ。
うちのギルドの双子が、勝手に送ったことになっておる。
P:なんだそりゃ?
V:ん?アイドルのオーディションとは、
「家族や友達が、勝手に送っちゃって」というのが作法と聞いたぞ。
I:ほお、なかなかわかってるですね。
基本をきっちり押さえてきてやがるです。
H:ううんと、お名前は?
V:「夜を統べる者」イリヤ・オーンスタインとは、わらわのことや。
H:イリヤさん、イリヤさんっと…あった!
でも、あれ?履歴書の写真とずいぶん違うような…
V:ふむ。そちらはわらわの真の姿じゃ。
P:なんだよ、面影は確かにあるけど。年齢からして別人じゃねえか。
盛りすぎってレベルじゃないぞこれ。
I:くう…これも定番ですよ~姉や親戚の写真を使って申し込んでくるなんて、
やはりなかなかの猛者です。
P:いや、だから何の定番だよ。
H:まあ、来ちゃったものはしょうがないか。それじゃあ、面接を始めますね~
ええと、ではまず、簡単な自己紹介からお願いします。
V:よかろう。先ほども名乗った通り、わらわの名はイリヤ・オーンスタイン。
真なる吸血鬼であり、夜を統べる者。普段はギルドマスターをしておる。
P:吸血鬼でギルドマスターねえ~なんだそりゃ。
I:カヤぴぃ、そういうキャラなんですよ。
最近のアイドルには、キャラを作ってギミックを重視するタイプもいるです。
P:さっぱりわかんねえ…
H:志望動機は?
V:ふむ。ノゾミとはたまにプレゼントを配り、サンタを目指して、切磋琢磨しておった盟友でな。
聞けば何やら、助けを求めておるようではないか。
ゆえに、義によって助太刀に来た、と言えと言われておる。
H:ふむふむ。じゃあ、本音は?
V:アイドルになれば、ファナティックという狂信者がつくという話じゃろう?
世界征服のためには、アイドルが近道と気付いたのじゃ。
H:なるほど、わかりました~
P:キャラ作るにしても、設定濃すぎないか。
I:ぎゃふ。破綻ギリギリを攻めてくるピーキーなスタイル。
なんっておそろしい子ですよ!
H:では、特技などがあれば、アピールをお願いしまーす。
I:ふむ。吸血鬼としての能力は数多あれど、
アイドルとしてならば、無論、この美貌じゃのう。
H:はい、ありがとうございました~イノリちゃん、どう思う?
I:王道のラインをしっかりと確保つつ、個性を出している点は認めるですが、
やや設定が奇抜すぎですね。正統派アイドルユニットである【カルミナ】に合わせて、
もうちょっと落ち着いたキャラ付けがほしいところではありますが、冒険心は買いたいです。
個人的に年齢感のわりに印象で攻めすぎる点が気になってしまうので73点。
ただこれは減点方式なので、加点方式ならもっと伸びるですよ!
P:イノリのやつ、アイドルのことになると、急に早口になるのって…
H:よしなよ、カヤちゃん。
V:それで?面接の結果はどうなんじゃ。
I:そのポテンシャル…残念ながら認めざるを得ないということですよ。
へっ。二次審査であたしと勝負です!
V:よかろう!望むところじゃ。
P:なあ、なんか勝手に話進んでるけど、いいのか?
H:せっかくだし、このまま様子を見てみよっか。
P:うえぇ!?なんだここ。うちのギルドにこんな部屋あったか?
I:ふっふっふ。こんなこともあろうかと、きのう突貫工事で作らせたレッスンルームですよ!
アイドルになれば、こんな改装費用ぐらいぺぺっと出せるですからね。
P:お前さあ…そういう計画性の無さ、何とかしたほうがいいぞ。
I:何言ってやがるですか!?ボスは笑顔で立て替えてくれたですよ。
P:おい、ボス!?
H:大丈夫だよ~これぐらいじゃ、イノリちゃんの借金の桁は増えたりしないから。
P:うう…おいおい…あ、でも、壁が一面鏡ってのはいいな。フォームの確認もできるし。
H:ねえ~無駄にはならないでしょう?
どうせイノリちゃんの借金が増えちゃうんだったら、少しは役に立つようにしてあげないと。
P:ボスはイノリちゃんに対して厳しいのか甘いのか、わかんなくなるなあ…
H:どっちかって言うと、過保護なだけかもね~うふふ。
I:何こそこそ話してるです?さあ、このレッスンルームで振り付け勝負…
って、あれ?イリヤとかいうガキんちょはどこです。
V:誰がガキんちょじゃ!わらわはここにおるぞ。
I:声はするけど、姿は見えずです。こ、これは一体…
P:いや、ここにいるだろう。イノリこそ、どこみてんだ?
H:待って、カヤちゃん。イノリちゃんは鏡越しに部屋全体を見てるのよね。
I:そうですよ。こうすると、レッスンルーム全体を見られるです。
H:それでね、確かに映ってないのよ…鏡の中には。
P:はあ?そんなバカな事…あったわ。
I:振り返ると確かにいるです。けど…
V:ん?どうしたんじゃ。
H:イリヤちゃん、あなたって…
V:なんじゃ、おぬしら?
もしかして、吸血鬼は鏡に映らんということを知らんのか。不勉強じゃのう…
P:いや、まさかそんな…
V:まあ、わらわほどの吸血鬼ともなれば、気合を入れれば映ることができるがのう。
なんじゃ、おぬしら信じておらぬな?
うむーこれはちょっと疲れるので、あんまりやりたくはないが…
どうじゃ。これがわらわの真の姿じゃ。ふん、ここはなぜか魔力が満ちておるようじゃのう。
何かしら魔法の品でも集めておるのかのう。
I:って、怖くなったですよ!もしかして、ほ、ほん、本物の吸血鬼!?
P:今度は鏡に映ってる。って、そういう問題じゃないって。な、なんなんだよこれ!?
H:ちょっと落ち着こっか、二人とも。
もしかして、イリヤさんがマスターをしているギルドって…
V:わらわのギルドか。はっはは!よくぞ聞いた。
【悪魔偽王国軍】。いずれ世界を征服するギルドの名じゃ。覚えておくがよいぞ。
H:そうだったのね~では、あなたが本物の伝説の吸血鬼…
P:おい、話が見えねえぞ、ボス!どうすんだよ、やっちまうのか?
I:かかかかカヤぴぃ、やばいですよ!
あたしたちが血を吸われたら…ドラゴンヴァンパイアになっちまうですか!?
H:イリヤさん、もう一度聞きます。ここに来た目的は?
V:うむ。義によって助太刀に来たと言うたであろう~
H:本当の目的を聞かせてください。
V:わらわの真の目的とな?ふふふふふふ、それは…
H:それは?
V:アイドルになって、楽々に眷属を増やすのじゃ~
って、しまった!また子供の姿になってしまったではないか!
くう…魔力不足が恨めしいわ。
I:カヤぴぃ、あたしわかったですよ。
P:ああ、おれもだ。
I、P:この人、見たまんまの人です(だわ)。
V:それで、どうするというのじゃ。二次審査とかいうのをするんじゃろう。
H:それなんだけど~もう最終オーディションしちゃおっか。
P:いいのかよ、そんな適当で…
H:大丈夫だよ~だって…
K:あーははははは!どうやら役者はそろったようじゃないか。
I:ぴぃ!く、クリスティーナ!?
P:いつもいきなりだな、あんた…
H:クリスティーナさん、いらっしゃい~お待ちしてましたよ。
V:おお!クリスティーナではないか。
そういえばおぬし、【カルミナ】のプロデューサーなるものをしておったな。
K:ほお~伝説の吸血鬼様ではないか。
なんだ、ドラゴン族でも滅ぼしに来たのか?
V:バカを言うでない!
せっかくノゾミのステージを手伝ってやろうと思って来てやったのだぞ。
I:や、やべえですよ、カヤぴぃ!あっちはクライアントに縁故があるですよ!
P:ああ…うん、あ、そうだな…
K:なるほどなるほど、待つのも退屈でアポ無しで来たというのに、
もう頭数をそろえているとは、殊勝な心掛けじゃないか。
気に入ったぞ~【ドラゴンズネスト】。
H:いえいえ、それほどでも…あ、こちら候補者の書類で~す。
P:あ~なるほど。ボスには、クリスティーナがこっちに来てるのが見えてたわけだ。
I:そ、そそそ、それじゃ今から、クリスティーナおば…
じゃなくて、プロデューサーの前で、歌とダンスの審査です?
K:ん?そんなものは必要ないだろう。
I:ふえ!?
K:それよりも、貴様の特技は…
ふん、炎のブレスか。なかなか派手でいいじゃないか。
I:そうです!歌って踊れてブレスも噴ける、新感覚アイドルです!
K:ふむふむ。それで、伝説の吸血鬼様は眷属召喚と…鏡に映らないこと、か。
V:まあ、そうじゃな。じゃが、気合を入れれば、映ってやらんこともないぞ。
P:っていうか特技か、それ。
K:よしっ!二人とも採用だ。代金は現金でいいかな?
H:はい~お買い上げありがとうございま~す。
I:お買い上げとか言うなですよ!っていうか、いいんですか?
はっ、まさか、あたしが歌と踊りも見せないで、アイドルになれちゃうほどの逸材!?
V:まあ、わらわほどのカリスマがあれば、余裕よな~ははははは!
I:でもこれで、あたしも【カルミナ】の一員…ライブにグッズにウハウハの生活ですよ!
これからしっかりプロデュース、頼んだですよ~
K:ん?何を言っている。今回探しているのは、ステージの特殊効果担当だが。
I:な…
V:な、な…
P:なあ、ボス…わざと黙ってたどう…さすがに悪趣味じゃないか?
H:せっかく盛り上がってたし、水を差すのも悪いかなって…
でもでも、【カルミナ】とステージで共演ってところは嘘じゃないよ~
K:はははは!噴き上がる豪炎、舞い踊るコウモリたち…
何とも派手なパフォーマンスが期待できそうではないか。頼んだぞ、二人とも!
I、V:なんじゃそりゃー(ですよ)
V:あああ、デス。
I:まじはあぁ、ですよ。
P:ボスにはおれからもしっかり言っとくからさ。機嫌直せよ。
I:詐欺ですよ!嘘大げさ紛らわしいってやつです!こんなんやってらんねえですよ!
あんなのの言うことを一瞬でも信じたあたしがバカだったですよ!
H:イ・ノ・リちゃん~
I:ふーん!
H:ごめんね。ちょっとやりすぎちゃったって思ってるから…
それよりも、ステージの打ち合わせがあるから、こっちおいで~
I:知らねえですよ!そんな仕事、そもそも本当にあるですか?
だいたいあのクリスティーナっておばさん自体あやしくー
P:おい、イノリ!
K:クライアントにずいぶんな口を聞いてくれるじゃないか。
I:やあ!くう…もう知らねえですよ!
あんたもボスとぐるで、あたしを騙そうとしてたですね!?
K:ずいぶんな言われようだな。仕方がない、別の者を探すか、ノゾミ?
N:そうですか。それは残念です…
I:ふん、今更そんな偽物用意しても…うう?
N:プロデューサーさんってば、誤解をさせやすい人だから…
怒らせてしまったなら、本当にごめんなさい!
P:ええっと、君ってもしかして、【カルミナ】のノゾミ?
N:あっ、自己紹介が遅れました。【カルミナ】のノジミです。
今日はそちらのギルドマスターのホマレさんにお呼びいただいて、
次のステージを一緒に作ってくれる皆さんにご挨拶に来たんですけど…
P:あ、これはご丁寧にどうも。おれはカヤで、こっちはイノリっていうんだが…
I:任せてくださいですよ!この、あた、あた、あたたたたしが、確かに引き受けるです!
N:実は、いつもと違うステージ演出をしてみたいって言い出したのはわたしなんです。
こんな思い付きに力を貸してくださって、ありがとうございます。
K:ふん、どうやら新しく探す必要はなさそうだな。
すでに火炎を中心にしたステージ演出で動いているんだ。しっかり頼むぞ。
H:はい~
N:よろしくお願いします、イノリさん。
I:は、はいぃぃ!よよよよよ、よろしくです!
P:あぁあぁ、ずいぶんと舞い上がっちゃって…機嫌直ってよかったじゃん、ボス。
H:これもお仕事お仕事~では、こちらで打ち合わせしちゃいましょっか。
K:うん、頼んだぞ。あっははははは!
I:うう…そうこうしてるうちに、ライブ本番ですよ…
P:おいおい、大丈夫か、イノリ。
I:そそそ、そんなの大丈夫に決まってるですよ!
カヤぴぃこそ、こんなところで何してるですか。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。
P:やあ、ボスがいい機会だから見学してこいって、
バックステージパスってのを用意してくれたんだよ。
(まあ、本当はイノリが心配だから、ついてってくれって言われたんだけどな…)
I:ふ~ん、しょうがないですね。そこでプロの仕事ってのをしっかり見学するといいです!
N:みんな~今日は来てくれてありがとう!
P:おお、始まったみたいだな。
I:ははははは、始まったですね…
P:って、わりとすぐに出番じゃなかったか。おい、イノリ?
I:そそそそそ、そそ、そ、そうだったですかね。
P:がっちがちじゃねえか…う、おい、イノリ、こちょこちょこちょこちょこちょこちょ!
I:あはははあはは!な、何するですか、カヤぴぃ!?
P:あっははは。ほら、出番だぜ、イノリ。
I:や、やってやるですよ!ふううううう…ファイアァァァァァァです!
V:おお!イノリのやつ、なかなか見事な炎じゃのう。
わらわも負けてはおれぬな。行け、眷属たちよ!
M:うおおお!演出すっげえ!M:マ、マイクが空を飛んでるぜ!
V:まあ、鏡に映したノゾミに、わらわがマイクを手渡しておるだけなのじゃがな。
ほれ、ノゾミよ。
N:賑やかな街並み 一人歩きながら思うよ
君はどうしてる 大切なマイダーリン…
P:はは、盛り上がってるなあ…イノリ?
I:全部がキラキラしてるです。これが、【カルミナ】の、のぞみんの世界…
P:って、おいおい。まだ出番あるんだろう。
I:そ、そうです!【カルミナ】のステージ、絶対に成功させてやるですよ!
N:…見つけて抱きしめに行くよ 愛をこめたプレゼント受け取って…
K:では諸君、ステージの成功を祝してー乾杯!
ALL:乾杯!
H:お疲れ~カヤちゃん。、イノリちゃん。どうだった。
P:やあーすげえんだな、アイドルってのは。
実のところ、最初はチャラチャラ歌って踊ってるだけだと思ってたけどさ。
I:当たり前ですよ!真のアイドルとは、常に研鑽を怠らず、
ファン以外にも夢を与え続ける、まさに夢の偶像…
【カルミナ】のセンターたるのぞみんは、現在もっとも理想に近いアイドル。
その手伝いができるだけで、幸運というしかないですよ!
P:やあーアイドルになって一攫千金っとか言ってたんじゃなけりゃ、感動するセリフだな。
V:ははははは!そう言うてやるんな~わらわとて、今の姿では、
あの人数を前に、カリスマを発揮するのは至難じゃからのう。
まったく、ノゾミは大した奴じゃ。
N:イリヤさんにそう言ってもらえると嬉しいですね。
今日は皆さんのおかげで、とってもいいステージになりました。
ありがとうございます!
V:おお、ノゾミこそお疲れさまじゃ。よいステージじゃったぞ。
P:ああ、本当すごかったぜ。特等席で見せてくれてありがとな~
おい、イノリ。
I:あああああ、の、のぞみん!ステージ、すごかったです!
H:完全に舞い上がっちゃってるね~
N:【ドラゴンズネスト】の皆さんも、今回は本当にありがとうございました。
P:まあ、いいっていいって。こっちも仕事だしな。
それに、実はイノリのやつ、君のファンでさ。
こうして手伝えただけで、この舞い上がりっぷりだからさ。なあ、イノリ?
N:そうなんですか。とってもうれしいです。
ありがとうございます、イノリさん。一緒にステージを作ってくれて、とっても楽しかったです。
I:うう…うわああああ!N:ぜひまた…イノリさん!?
P:あ、ダメだ。イノリのやつ、白目むいてる。
H:でも、幸せそうな顔だね~
N:ええ、えええ!?大丈夫なんですか!?
V:あれだけ炎を噴いておったのじゃ。
疲れが取れるまで、しばし寝かせてやるがよかろう。
K:諸君、愛すべきアイドルたちと、そして、竜と吸血鬼に、再びの乾杯を!
あっははははは!